脳腫瘍は怖くない!
脳腫瘍の症状
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脳神経外科スタッフ 執筆 スタッフ
脳腫瘍の症状
 
 脳腫瘍が出来た場合の症状は、大きく三つに分かれます。一つは、脳腫瘍という余分なものが出来ることにより、頭蓋骨で囲まれた内部の圧力が高くなることによって起こる症状です。頭蓋内圧亢進(とうがいないあつこうしん)症状と呼ばれ、頭痛・嘔吐・傾眠などが起こります。もう一つは、脳腫瘍によって直接圧迫された脳の機能が障害されることによる症状です。巣症状(そうしょうじょう)または局所症状(きょくしょしょうじょう)と呼ばれています。そしてもう一つは、脳の一部が異常興奮をきたすことによって起こるけいれん(痙攣(けいれん)、てんかん)発作です。
 
頭痛
脳組織そのものには痛みの感覚はなく、脳腫瘍によって脳が押されたり傷ついたりしても痛みを感じることはありません。そのため頭痛の原因としては、頭蓋内圧亢進による場合と局所の痛みを感じる部分の刺激による場合が考えられます。早朝起床時に多い頭痛は、頭蓋内圧亢進症状に特徴的です。起床時に最も強くて午前中に徐々に軽快する頭痛があれば、脳腫瘍が疑われます。また脳腫瘍により脳全体が移動して、痛みを感じる組織(髄膜や血管など)が引っ張られたり捻れたりして刺激を受けると頭痛が起こります。しかし、ほとんどの頭痛はその他の種々の原因で起こりますので、頭痛があっても必ずしも脳腫瘍があるとは限りません。
 
嘔吐
頭蓋内圧亢進による場合と嘔吐中枢(おうとちゅうすう)の直接の刺激による場合があります。嘔吐中枢は脳幹部(のうかんぶ)にありますので、脳幹部やその近くの小脳腫瘍に多くみられる症状です。小児は頭痛をはっきり訴えることができないため、嘔吐は重要な症状です。頭蓋内圧亢進による嘔吐は特徴的で、はきけがなくても突然噴出するような嘔吐をきたし、その後は何事もなかったように食べることが出来ます。放射性嘔吐と呼ばれます。
 
視力障害
視力に異常が生じる原因のほとんどは、白内障などの眼球そのものの異常です。脳腫瘍が視神経やその周辺に出来てこれを圧迫する場合、そして頭蓋内圧が亢進した場合にも視力障害が起こります。頭蓋内圧亢進による場合は、雲や霧がかかったような見え方になります。急激な視力低下や眼鏡でも矯正されない場合は、脳腫瘍による視神経圧迫を疑い、すぐに検査する必要があります。
 
視野障害
脳腫瘍では視神経から後頭葉視中枢(しちゅうすう)までのどこで視覚路が障害されるかによって、特徴的な視野異常を来します。たとえば下垂体腫瘍では外側の視野が欠ける両耳側半盲をきたします。しかし、脳腫瘍以外にも脳卒中や偏頭痛(へんずつう)でも視野障害をきたしますので、専門医師の判断が必要です。
 
めまい
めまいと表現される症状には、3種類あります。本当に天井や壁が回転するめまい、ふわふわ浮いたような浮遊感、そして立ちくらみです。回転性のめまいは、メニエール氏病のこともありますし脳腫瘍のこともありますので、専門家の診察が必要です。浮遊感は、脳幹や小脳といった大切な部分の虚血でも起こりますので検査が必要です。立ちくらみは、立ち上がった時に血液がお腹や足に残って頭に足りなくなったり、貧血で起こりますので、頭以外の原因を考える必要があります。
 
運動麻痺(まひ)
脳内の運動神経線維が障害されると運動麻痺が起こります。ご存知のように、右の脳が障害されれば左半身の麻痺が起こります。手だけとか足だけとかという症状は、脳腫瘍の場合にはあまり多くなく、片側の手足を含む場合が多いようです。脊髄や末梢神経の障害では、手足の症状が別々の場合もあります。顔まで含まれれば、完全に大脳半球の病気ということがわかります。ろれつが回らない場合も、顔面や舌を動かす運動神経の麻痺であることがあります。
 
しびれ
これは感覚神経線維が障害されると起こりますが、運動麻痺よりも気付き難いと思われます。脳の障害の場合、運動麻痺と同じように片側だけに起こります。両側の手足がしびれることは特別な場合を除いてまずありません。
 
失語(しつご)
右利きの人のほとんどが、また左利きの人の半数以上が左大脳半球に言語中枢(げんごちゅうすう)があるといわれています。言語中枢に脳腫瘍が出来た場合には失語と言われる症状が出ます。失語には、思っていることが言葉として出ない運動性失語と、人の声が聞こえるけれど意味が理解できない感覚性失語があります。
 
複視(ふくし)
これは物が二重に見えることを言います。眼球を動かすには3本の脳神経と6つの筋肉が必要です。しかし、脳腫瘍で脳神経およびその中枢が障害されるとて眼球の動きが悪くなり、ずれが生じ物が二重に見えます。
 
聴力障害
聴神経には蝸牛(かぎゅう)神経と前庭(ぜんてい)神経が含まれます。聴力に関与するのは蝸牛神経で、前庭神経は先ほど述べた”めまい”に関与します。聴神経腫瘍は前庭(ぜんてい)神経から発生しますが、並走する蝸牛(かぎゅう)神経も傷害されて聴力障害が起こります。ちなみに、この腫瘍は良性です。
 
顔面神経麻痺
運動麻痺と同様に、顔面を動かす神経線維が障害されると起こります。脳腫瘍より脳卒中や顔面神経のウイルス性の炎症によって起こることが多いようです。顔が左右対称でなくなり、食べ物を口からこぼしたりします。症状が強い場合は、目が閉じられなくなり角膜に傷が付くので注意が必要です。
 
けいれん(痙攣(けいれん))発作
脳腫瘍が刺激となり脳のある部分に無秩序な電気活動が生じて起こる発作を、けいれん発作(またはてんかん発作、ひきつけ発作、など)といいます。刺激される脳の部位によって片方の手または足が自分の意思に反して震えたり、言葉が喋れなくなったり様々な症状がでます。脳全体に神経細胞の異常な興奮が広がった場合は、意識を失い全身の筋肉の震えや剛直が生じ、これを全身痙攣(または大発作)といいます。 脳腫瘍以外にも頭部外傷や脳卒中などによっても起こる症状です。
 
Department of Neurosurgery, Osaka Medical College