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小耳症

小耳症の全耳介再建術

小耳症は生まれつき耳の形がない状態で生まれてくる疾患です。世界的にみて地域差のデータはなく、頻度は、およそ1ー2万人に1人の割合だと推定されています。小耳症のタイプにはバリエーションがありますが、重要なポイントは2点です。第一に顔の骨の低形成を伴うのか(第一第二鰓弓症候群など)、第二に鼓膜、耳の穴が存在するかどうかです。もし
第一第二鰓弓症候群の場合は、耳介よりも先に顔の手術を優先して行うことが、より良い結果を出すことが最近わかってきました。また第一第二鰓弓症候群の場合は、耳のあるべき位置が毛髪で覆われているローヘアラインと呼ばれる状態、また耳たぶが低い位置に残っていることがあります。こういう場合はレーザーでの脱毛、耳朶の位置の移動など、耳介形成の前に治療を行うことが長い目で見て良い結果をもたらします。

耳介形成術は、通常のタイプであれば耳介のフレームを移植する1回目の手術と耳を立てる2回目の手術で完成します。フレームは肋軟骨を用いて作成します。手術時期の目安はおよそ10歳、胸囲(胸と腹の境界で)60cmですが、顔の手術が必要な子供さんは、数年遅らせることが良い場合があります。5ー6歳と早期の手術はお勧めできません。軟骨の質、量ともに不十分の可能性が高いからです。耳介形成が必要な子供さんは小さい時からできるだけ肥満の状態は避けた方が良いです。肥満の場合は、経験上胸囲が60cmあっても軟骨が小さい方が多く見られます。また軟骨が通常よりもやや早く骨化が始まる印象があります。骨化すると軟骨が曲がりにくく、手術の難易度が上がります。

当院では、耳の聞こえに関する手術が必要な方は、耳鼻科の鼓室形成の専門家と手術を行っております。耳の穴が塞がっている場合、中が真珠腫になり気がついてないことや、穴の入り口が狭く掃除できにくいこともあります。伝音難聴は片側であれば、まずは正常の側が中耳炎にならないよう大事にすることが第一です。両側小耳症では聞こえの改善の手術の可能性を検索いたします。手術で聞こえの回復が強く期待できる場合に限って手術をおこないます。

肋軟骨は6-9軟骨を、軟骨を包む膜を、胸に残して採取します。この方法の方が、気胸という合併症の危険が少なく、術後の胸郭の変形も少なくてすみます。

小耳症の耳介再建は、修練を要する手術ですので、形成外科の中でも、耳介再建の経験豊富な医師に相談することが薦められます。作り直しの手術は、患者さん、家族、医師全員に大きな負担がかかりますので、最初の手術が極めて重要です。

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