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○大阪医大式膀胱温存療法
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研究紹介

臨床治験

卒後キャリアプログラム

主に前立腺癌、膀胱癌などの癌に対する研究と、腎移植を中心とする免疫学の研究を行っています。

前立腺癌に対する研究|膀胱癌に対する研究|腎移植を中心とする免疫学の研究|腎移植を中心とする免疫学の研究|再燃前立腺癌について|移植免疫の研究

前立腺癌に対する研究

前立腺癌は、近年急激に増加し、現在男性の死亡率上位を占めるようになり、重要な疾患です。ホルモン療法が効果的であることは皆さんご存知のとおりですが、前立腺癌のホルモン療法には限界があります。特に進行性前立腺癌の場合には、その5年生存率は40%以下であり、大きな問題となっているのが現状です。

我々の施設では、ホルモン療法に対する反応が悪くなった、ホルモン不応性癌、特に転移癌の患者様に対して特異的な治療法(ホルモン化学療法)を行い、良好な成績を得ています。 また、脳神経外科の先生方との共同研究により、硼素中性子捕捉療法(BNCT)による内分泌療法不応性前立腺癌-骨転移の選択的治療を計画しています。

BNCTは、癌細胞親和性の硼素(10B)化合物を予め投与し、熱中性子線を照射することにより、10Bを多く取り込んだ癌細胞では細胞内部で硼素と熱中性子の核反応が生じ、核反応により発生した高エネルギーの?線と7Li粒子が癌細胞を破壊するという、“癌選択的な標的粒子線治療です。我々は、前立腺癌細胞の癌細胞核に選択的に取り込まれる硼素化合物(BSH)を作成することによって、現在、有効な治療法がない”内分泌療法不応性前立腺癌-骨転移に対して、癌選択的治療を行うことを考えています。

膀胱癌に対する研究

膀胱癌においては、通常膀胱摘除を余儀なくされる浸潤性膀胱癌に対して、手術することなしに根治に導く集学的治療“大阪医大式膀胱温存療法” を積極的に施行し、これまで多くの症例に腫瘍の完全消失を認めています。
“抗癌剤の動脈内注入と血液透析を組み合わせる集学的治療 “大阪医大式膀胱温存療法”は、通常の化学療法の約30倍もの濃度で抗癌剤を膀胱および、その周囲組織のみに限局的に投与することが可能で、放射線照射を併用することによって多くの患者様を膀胱摘出することなく、また、通常の化学療法にみられる骨髄抑制や、消化管障害などの副作用を殆ど認めることなく、癌を完治させる画期的な治療法です。

この治療法が開発されたことにより、これまで治療の対象になり得ず、やむなく姑息的な治療にとどまらざるを得なかった患者層を容易に根治を目標として治療に導くことが可能となりました。

新規膀胱温存療法:癌選択的細胞破壊による「BOAI-BNCT療法」の開発!

OMC-Regimen のさらなる進化系として合併症の:さらなる軽減を目標とした「BOAI-BNCT療法」を考案しました!

“癌選択的な標的粒子線治療” 硼素中性子捕捉療法(BNCT)は、癌細胞選択的に取り込まれる硼素(10B)化合物を予め投与しておき、熱中性子線を照射することにより、10Bを殆ど取り込まない正常細胞は障害されないが、10Bを多く取り込んだ癌細胞では細胞内部で硼素と熱中性子の核反応が生じ、核反応により発生した高エネルギーのα線と7Li粒子が癌細胞を選択的に破壊する、「正常組織温存+癌細胞選択的破壊治療」です。

本治療法の大きな利点は、核反応により発生するα線も7Li粒子も飛距離10ミクロン以下のため、周囲細胞に影響を及ぼさず、硼素を取り込んだ癌細胞のみを選択的に破壊できることであり、また、本治療の成否は、いかに十分量の硼素化合物を癌細胞に選択的に集積させるかにかかっています。

そこで私達は、
1) 膀胱周囲組織に極めて高濃度の硼素化合物を投与可能とする“BOAI法”(血流塞栓用バルーン付カテーテルを用いて膀胱動脈選択的に硼素化合物を動脈内投与する)を用いて、
2)膀胱癌細胞、特に核内に選択的に集積、移行するべく特殊加工した“膀胱癌細胞親和性硼素化合物”を作成、投与することによって、膀胱癌細胞により選択的に高濃度の硼素化合物を取り込ませ、癌細胞を選択的に破壊するBOAI-BNCT法を考案し、この実現に向けて研究を行っています。

元来高齢者が多く、侵襲の強い膀胱全摘術や化学療法を行うことができず姑息治療に留めざるを得ないことが少なくなかった浸潤性膀胱癌において、臨床的に極めて有用な治療法であると思われます。

腎移植を中心とする免疫学の研究

移植の分野では、「免疫制御細胞による免疫寛容導入の試み」 これまでの免疫寛容導入法では、レシピエントに抗体を直接投与する方法がほとんどで、その際、1)充分な抗体量の確保が困難であること、および、2)重篤な副作用が出現することがあること、などの理由から臨床応用が難しいのが現状でした。

私たちは、これまでのレシピエントに抗体を直接投与する方法とは全く異なり、1)Sup-CD28-Igを投与することによって得られる”ドナー非特異的免疫制御細胞をレシピエントに投与することによって、移植後、ドナー特異的な免疫寛容を獲得する新免疫寛容誘導法を開発し、臨床応用を目的に研究を進めています

新規免疫寛容誘導法の開発! 免疫抑制剤を使用しない移植を臨床応用に!

本研究は、これまでの我々の研究成果である新規免疫寛容誘導法:「Treg 術後感作性免疫寛容療法」と新規遺伝子導入法:「レンチ超音波照射遺伝子導入法」を用いた移植腎再生保護遺伝子“MF-1”移植腎局所導入」を組み合わせることによって、免疫抑制剤を使用することなく移植腎永久生着を目的とする新規腎移植免疫療法の開発研究プロジェクトです。

  1. Treg 術後感作性免疫寛容療法とは
    レシピエントの非特異的な免疫制御細胞(Treg)を予め術前に抽出して体外で増殖させ(必要なときに必要な量のTregをいつでも供給可能なTreg バンクを作成)、移植後に定期的に体内に投与することによって、安全かつ高率にドナー特異的免疫寛容を誘導する方法(モノクロナル抗体などを用いないのでアナフィラキシーショックなどを発症しない)
  2. “MF-1遺伝子”とは
    細胞再生修復因子HGFとマクロファージ刺激因子MSPのキメラであり尿細管の阻血再還流障害を修復し、かつ体内に自然に存在するTregを増殖させることによって免疫寛容の誘導を助ける移植腎再生保護免疫制御遺伝子です。

本プロジェクトは“MF-1遺伝子”を我々が開発した新規遺伝子導入法「レンチ超音波照射遺伝子導入法」(高率にゲノム内に遺伝子導入が可能でアデノウイルス並みに使いやすいレンチウイルスベクターと造影剤超音波照射を併用した新規遺伝子導入法)を用いて移植腎に導入することによって、移植腎特異的に阻血再還流障害による尿細管の修復、および、再生作用を発揮させ、また、それに並行して@で誘導した免疫寛容を継続維持させる、画期的な新規腎移植免疫療法である。本治療法が臨床応用され、免疫抑制剤を用いない移植を実現させることは、移植患者のQOLを向上させるのみならず、これまで年齢や合併症などで移植を受けられなかった子供や高齢者にも適応が広がる意味で極めて有意義であると思われます。

 

再燃前立腺癌について

前立腺癌は、最近のライフスタイルや食事の欧米化、および人口分布の高齢化に伴って、欧米同様男性で最も多い悪性疾患となりつつあります。本疾患における治療(手術療法、放射線療法、ホルモン療法)の発展はめざましく、前立腺特異的抗原であるPSAの繁用と相まって多数の早期前立腺癌患者が治療の対象となり、有効な治療成績が報告されてきています。

しかしながら進行性前立腺癌の一般的な手段であるアンドロゲン遮断療法は、その近接効果は著明ですが、多くの症例で数年以内に治療抵抗性の再燃癌となります。ホルモン非依存性状態の発現は、大多数の患者でみられる明確な不可逆性の現象であり、アンドロゲン遮断療法開始後ほぼ予測可能な期間内に生じますが、この再燃前立腺癌に対しては、未だ有効な治療法が確立されていないのが現状であり、ホルモン非依存性状態を引き起こす、生物学的事象の早期解明が望まれています。

われわれの教室では以前から基礎医学系教室、あるいは海外の研究機関とコラボレートし、再燃前立腺癌におけるホルモン非依存性獲得の機序の解明に日々取り組んでいます。例えば、我々の研究で使用頻度の高いホルモン依存性人前立腺癌細胞株(LNCaP)と、カナダ・ブリティシュコロンビア大学との共同研究で譲り受けたホルモン非依存性人前立腺癌細胞株(C4-2)との遺伝子発現の違い(18000の遺伝子)を、マイクロアレイ法を用いて解析し、特に発現の強かった遺伝子についてその機能を検討しています。

(高原)

移植免疫の研究

現在、臨床で臓器移植が行われているのは、同じ種である人間と人間の間での臓器移植です。このことは、一卵性双生児間以外では、同種異型移植(アロ移植)といいます。当科で臨床的に行うのは慢性腎不全患者に対する腎移植ですが、現在の腎移植の限界は、提供いただける腎臓の数に限りがあることです。移植を希望される腎不全患者全員が移植を受けられる状況にはほど遠い状況です。提供いただいた腎臓は非常に貴重なものですから、一つ一つの移植腎を安全にかつ確実に長期間生着させることが特に重要となります。

長期生着における移植腎機能の低下の原因には、慢性拒絶反応、虚血再灌流障害、免疫抑制剤(特にカルシニューリン阻害薬)による腎毒性や原疾患の再燃、ウイルス腎症などがあげられます。このうち特に、拒絶反応を抑制するための免疫抑制剤の使用と免疫抑制剤による腎毒性という項目は、相対するものであり、バランスよく加療を続けていても、20年以上生着した腎臓においては少なからず問題となります。

免疫抑制剤と免疫抑制方法が進化した現在、急性拒絶反応は、かなりコントロール可能になりましたが、長期的な免疫抑制法や免役寛容を起こす方法についてはまだまだ未開と言わざるを得ない状況です。移植臓器の長期生着をめざし、より安全で効率のよい免疫抑制方法をみいだすことが必要と考え、我々は、現在臨床で行われている免疫抑制とは異なった観点からの次の@Aのような研究しています。

  1. 制御性T細胞(Treg)を用いて免疫寛容に導入し、免疫抑制剤を最小限にして拒絶反応を起こさせなくする方法
    (多数のTregを得るための工夫が必要です。)
  2. アロ活性化マクロファージを制御し、拒絶反応を抑制することから新たな方法
    (免疫学の世界ではT細胞やB細胞といったリンパ球が行う獲得免疫は、研究のしやすさもあり、すでに世界中でかなり詳細に検討されてきました。アロ移植における急性拒絶反応は、細胞関連型の拒絶反応ではT細胞、抗体関連型の拒絶反応ではB細胞由来の抗体が中心的に働くと広く認識されており、これは真実なのです。しかし、実は単球/マクロファージ系やNK細胞の働きも比較的大きな領域を占めることはまだあまり認識されていません。生物進化の過程上でより下等とされる生物にもそなわる自然免疫をなす単球やマクロファージについても我々は注目すべきとの考え、上記Aの研究をおこない、特にアロ活性化マクロファージの制御法についてマウスやラットを用いた動物実験を行っています。)

今後、移植免疫の理解がすすめば、他の種類の動物(たとえばミニブタなど)からの人間への腎移植(異種移植)を実現できる可能性も秘めています。ただし、現在の状況ではこれらが臨床応用されるまで何年の月日を要するか定かではなく、頭はやわらかく、根気は強くもって、研究を続ける必要があります。 

(能見)

 

 

 

 

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