人は誰もが平等に老い、やがて死を迎えます。老年看護学は、一人ひとりの高齢者が、どのような健康状態にあっても、その人らしく生きることを支える看護をめざしています。また、その方のこれまでの人生の歩み方、価値観などすべてが反映される集大成の時期を生きる高齢者へのケアに携わることは、自分自身の人間性を磨く機会にもなると思います。
高齢者およびその家族への健康支援のあり方、老年看護学の専門的視点の必要性について探究し、高齢者とともに人生の統合について考えてみましょう。

授業風景

  • 卒業研究発表会
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  • 老年看護学援助方法
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授業科目

老年看護学概論、老年看護学援助論、老年看護学援助方法、老年看護学実習Ⅰ、老年看護学実習Ⅱ、実践と理論の統合、統合看護学実習、卒業演習

研究紹介

近赤外線分光法(fNIRS)を用いて、認知リハビリテーション実施時に看護学的アプローチが脳に与える影響を可視化・数値化することで、認知症患者に対する適切なケアの検証と認知リハビリテーションの効果を明らかにするプロジェクトを行っています。これまでのデータから、適切な関わりが脳血流量の増幅に寄与する可能性が示唆されていますが、強い相関を示すまでには至っておらず、その関わりの根拠となる原則についても言語化できていないのが現状です。今後はさらにデータを集積し、相関が見られれば、認知症看護ケアに対し重要なエビデンスの一つを付与できると考えています。正しい認知症看護ケアをさらに推進させるために、看護ケアの内容を科学的かつ客観的なデータとともに示す意義は大きいと考えています。2019年には英国の雑誌「IMPACT」において、我々の研究がGerontological nursing分野の注目研究として記事に取り上げられ紹介されました。現在期待を受けている研究として、引き続きこの課題に取んでいきます。

メンバー紹介

准教授 | 久保田正和

「糖尿病の食事・運動療法」や「認知症の病態解明、認知症ケア」をテーマに、看護学的 視点、医学的視点(実験系)両面から研究を行ってきました。今後も上記テーマの研究を継続し、看護学の発展に貢献したいと考えています。
(1) 認知症の方自身の能力に焦点をあて、「できること」を引き出すような認知リハビリテーションの実施、評価を行っています。また、Information Communication Technology (ICT)を用いて、家族介護者を支援する「ICTインフラを利用した双方向性のコミュニケーションシステム」の開発を行っています。認知症の方とその方を支える人々が、地域で共に暮らし続ける「共生社会」の実現を目指します。
(2) 近年、認知症の発症、進行度と、食事や運動をはじめとする生活習慣には相関があることが明らかになってきています。生活習慣病を引き起こすような食事内容、あるいは運動不足により、認知機能の低下がみられますが、適切な時期に適切な食事介入や運動指導が、認知機能低下の予防に有効であるか調査しています。
(3) 認知機能が低下している在宅糖尿病患者を対象に、良好な血糖コントロール継続のための有用な看護介入方法について検討しています。

主な業績(筆頭のみ)
1,加齢が骨格筋のインスリン作用に及ぼす影響:
久保田正和他、総合保健体育科学、28 (1) 9-13. 2005
2,Type-3 Ryanodine Receptor Involved in Ca2+-induced Ca2+ Release and Transmitter Exocytosis at Frog Motor Nerve Terminals:
 M. Kubota et al., Cell Calcium, 38 (6) 557-567. 2005
3,Mechanical horseback riding improves insulin sensitivity in elder diabetic patients:
M. Kubota et al., Diabetes Research and Clinical Practice, 71 (2) 124-130. 2006
4,Effects of continuous low-carbohydrate diet after long-term exercise on GLUT-4 protein content in rat skeletal muscle:
M. Kubota et al., Hormone and Metabolic Research, 40 (1) 24-28. 2008
5,IT利用が在宅介護者の介護ストレスに与える影響:
久保田正和他、癌と化学療法、35 (1) 46-47. 2008
6,ITを用いた双方向性精神的ケアシステムによる退院支援(2008年度)
 久保田正和、ユニベール財団調査研究報告書「豊かな高齢社会の探求」、18、1-16、2010
7,双方向性モニターシステムを利用した糖尿病患者在宅療養支援
 久保田正和他、癌と化学療法、37、189-191. 2010
8,テレビ電話を用いた定期的な介入が糖尿病患者の血糖コントロールに与える影響
 久保田正和他、癌と化学療法、38、97-99. 2011
9,産学連携による研究の取り組み-ICT機器の在宅医療への応用-
 久保田正和他、健康科学、7、81-86. 2011
10,Videophone-based multimodal home telecare support system for patients with diabetes.
Masakazu Kubota et al., Diabetology International, March 4 (1) 52-59. 2013 (Corresponding author)
11,Enhanced insulin action following subcutaneous co-administration of insulin and C-peptide in rats.
Kubota M et al., Diabetes/Metabolism Research and Reviews, 30 (2) 124-131. 2014
12,京大病院地域ネットワーク医療部における退院支援実習の取組み
久保田正和他、健康科学、9、55-58、2014
13,認知症の危険因子とそのマネジメント(総説)
久保田正和、木下彩栄、医学と薬学総説、72 (7)、1207-1218. 2015
14,エビデンスに基づく糖尿病・代謝・内分泌看護ケア関連図(著書)
  第Ⅱ部 治療別看護ケア関連図 A 代謝疾患 ライフスタイル改善:運動療法 266-273
  久保田正和、任和子(編集者)、細田公則(編集者)他、中央法規出版、東京、276-283. 2015 
15,認知症の危険因子としての糖尿病(総説)
  久保田正和、木下彩栄、Progress in Medicine総説、35 (9)、1403-1407. 2015
16,アルツハイマー病と食の関連性(総説)
  久保田正和、木下彩栄、認知症の最新医療、6 (4)、194-195. 2016
17,医工薬連環科学が果たす役割と可能性 高槻家の成長に寄り添う医療(著書)
久保田正和他、関西大学・大阪医科大学・大阪薬科大学 医工薬連環科学教育研究機構編、102-103, 111-117, 125-127, 2018. ライフサイエンス出版、東京.
18,Verification of dementia nursing care using fNIRS and search for appropriate cognitive rehabilitation
Masakazu Kubota et al., Impact, 6 June 76-78. 2019
19,認知症plus退院支援 一般病棟ナースのためのQ&A(著書)
久保田正和他、深堀浩樹、坂井郁子、戸村ひかり、山川みやえ編、p16-17, 13-133, 2019
  株式会社日本看護協会出版会、東京.
20,近赤外線分光法を用いた適切な認知リハビリテーションの探索—健常高齢者へのパイロットスタディ—
  久保田正和他、大阪医科大学看護研究雑誌、10, 15-22. 2020

講師|樋上容子

助教|杣木佐知子

地域包括支援システム構築に向けて、在宅医療体制の充実が求められる中、訪問看護看護師の離職率は病院勤務の離職率よりも高く、定着支援が求めらています。訪問看護ステーションに初めて就職する新任看護師は、豊かな臨床経験を有している人が多く、その経験を訪問看護の実践に生かし、つなげていく事が求められます。新任看護師の職業的アイデンティティは、教育ニーズと関連することが自身の研究で明らかになったことにより、教育の充実は、離職率低下につながる可能性が示唆されました。今後は、新任看護師の臨床経験を生かすための教育プログラムと情報システムを用いた教育ツールの開発を目指し、研究を進めています。

社会貢献活動・その他の取り組み

研究会の紹介

①認知症を理解し地域で支える会主催「第8回情報交流・相談会」「高齢者ケア研修会」
(大阪医科大学看護学部・高槻市他後援)の運営・実施
②社会福祉法人 成光苑 講師
③その他、看護協会・病院看護部の研究指導、教育講演、研究発表会講師等を担当

2016年度卒業研究のテーマ

「認知症高齢者虐待に至る養護者の介護負担について」
「うつ病を患う高齢者と関わる家族の思いと看護の実際」
「介護老人保健施設におけるBPSDへの対応」
「看護学生の成育歴と臨床実習が高齢者イメージに与える影響」
「認知症高齢者に対するユマニチュード技法の有効性~Dementia Care Mapping (DCM)を用いて~」
「男性高齢者との遠隔的な関わりにおける利点と課題について」
「介護老人福祉施設入所中の女性高齢者を対象としたICTを利用した効果についての研究~ipad miniおよびスマートフォンを用いて~」