精神看護学の観点からは、統合失調症患者やうつ病患者に対する看護に焦点を当てています。精神医学の新しい動向に常に留意しつつ、患者の心、身体、家族、環境社会を総合的にとらえ、一人ひとりの患者にあった看護援助の方法について検討するために、事例研究を中心に行っています。次に、精神疾患患者の身体合併症に関連した看護実践技術に焦点を当てています。精神疾患患者が身体の病気に罹ると、心の病気の症状や薬物療法の副作用におおわれて発見が遅れがちになることから、身体合併症の早期発見や予防のための看護実践技術について、量的・質的手法を用いて研究を行っています。
精神医学の観点からは、人間の精神的健康を生物的、心理的、社会的および霊的な側面から追及する研究教育を行っています。現在、最も精力的に取り組んでいるのは、認知行動療法による精神障害治療の効果研究です。

授業風景

  • 講義風景
  • 講義風景
  • 演習風景
  • 医看融合カンファレンス
  • 医看融合カンファレンス
  • 卒業論文発表会

授業科目

人間関係論、精神看護学概論、精神看護学援助論、精神看護学援助方法、精神看護学実習、看護実践と理論の統合、医療カウンセリング、広域統合看護学実習、卒業演習、心理学、大阪を学ぶ、リスクマネージメント、医療倫理

メンバー紹介

教授 | 荒木孝治

教授荒木孝治

精神疾患で療養されている患者さんの「クッション」になることができるか‐。クッションは椅子などで腰を下ろすために弾力を持たせた部分を言いますが、転じて、衝撃や振動を和らげるためのものといった意味をもっています。クッションはあって当たり前、それ自体が目立つものではありません。しかし、クッションがあると楽に座れるし、背中への負担も少なくなります。どのクッションにも構造があり、スタイルがあります。同じように患者さんのクッションになる場合、調整をして、合わせるやり方がありますし、状況をよく知って、そのときどきに弾力を変えることもあります。このようなクッションとしての役割を考えながら、私はこれまで事例研究を行ってきました。なぜ、患者さんは、そのようなことを語り、あるいは、行うのだろうか。患者さんとの関わりにおいて、その人についての体験が、こちらにはどのように伝わってくるか、丁寧に見直してみようとします。それを記述し、対象者にとっての意味(その人のやり方、あるいはそのやり方にもとづいて物事を配置していくあり方)を教えてもらい、私と較べて見ます。この「私と較べる」という作業を通して共通の何かが表れてきます。一方で、そのズレをどう埋めるか、あるいは、アレンジメントの工夫にクッションに通じるものがあるように思います。今後もこのような研究を通して精神看護の方法論の開拓に取り組んでいきたいと思います。

教授 | 元村直靖

教授元村直靖

現在最も興味を持っている研究領域は、災害や事故にあった被害者のケアや治療に関する研究です。周知のごとく、平成7年に神戸で震災があり、多くの被害者の方々のケアが行われて参りました。私も、さまざまな事件・事故を通じて、被害者のこころのケアを現在に至るまで続けております。ただ、具体的な支援のあり方については必ずしも十分に研究されているわけではなく、今後、被害者のニーズを的確に把握した上で、多くの職種の方々が連携しながら支援の方法を確立してゆく必要性があると思います。特に、被害者や障害者が社会復帰してゆくためにどのような援助が必要なのか。さらに、心理学的にはどのような心理療法などの方法が有効なのかなどについて研究をしてゆきたいと考えております。
ところで、心理療法としては、現在は、認知行動療法を様々な患者さまに行っております。特に、PTSDに対する認知行動療法は症例が蓄積されつつあり、その有効性が明らかになりつつあります。さらに、子供に対する認知行動療法はほとんど日本では行われていないので、不安障害の子供に対する認知行動療法のプログラムを開発し、厚労科研の補助を受けながら、治療を行っており、近々に、その成果を明らかにすることが可能となっております。

准教授 | 瓜﨑貴雄

講師瓜﨑貴雄

患者さんを理解するための手がかりや、精神的健康の保持・増進を志向した効果的な看護実践の方法を示したいと考えております。効果的な看護実践のためには、患者さんをよりよく理解することが重要であると考え、筆者は患者さんと看護師との関係性に注目しています。特に、自閉や思考障害などの精神症状のために自分の外側へ関心をひろげることが容易でない患者さんと、看護師がいかにして関係を築いていくのか、ということに関心があります。これまでは、自ら命を絶とうとされた患者さんと看護師との関係性、主として看護師の患者さんへの向き合い方に焦点を当てて研究を行ってきました。現在は、看護師の患者さんへの向き合い方のみならず、関係性の中で生じる相互作用までも明らかにできるようにと研究に取り組んでおります。

助教 | 山内彩香

患者さんやご家族の気持ちに寄り添った看護を提供するためには、看護の提供者である看護師自身も自分の心と向き合い、その動きを知り、メンテナンスしていく必要があると考えます。これまで私は、患者さんと看護師の相互的な影響に注目し、特に、高い実践能力ゆえに病院組織から期待され、多重の役割や責任を担っている中堅看護師の仕事のやりがいやモチベーションを高めることが、看護師自身の心の健康だけでなく、看護の受け手である患者さんやご家族にとって良質なケアの提供につながると考え、「中堅看護師に対する他者からの承認とその影響」というテーマで研究を行ってきました。
 現在は、精神疾患によって、社会の中で精神的に孤立し、生きにくさを感じていらっしゃる患者さんが、病があっても社会の中で自分の居場所や人とのつながりを感じられるように、その方らしく幸せに生きていけるようにお手伝いをしたいと考えています。そのために看護として、生活環境を整えながら、関わりの中で患者さんが安心感を高めていけるようなコミュニケーションの工夫に関心があります。たとえば、いろいろな事情で、自分の思いを上手く言葉で伝えきれないでいる患者さんの訴えに耳を澄ませるための積極的な傾聴や、患者さんが歩んでいかれる道のりをご自分で選び決定していくという、患者さんの意思決定や治療計画への参画を支えるプロセスを明らかにできるように研究に取り組んでいきたいと思います。

社会貢献活動・その他の取り組み

2016年度卒業研究のテーマ

「精神科におけるターミナルケアの現状と課題」
「我が国における過去10年間のうつ病予防の取り組みと今後の課題」
「看護師のピアカウンセリングの効果について」
「統合失調症患者及びコンコーダンス・スキルに関する文献検討」
「統合失調症の陽性症状がある患者との関係形成における看護師の具体的援助内容についての文献検討」
「精神科病棟における統合失調症患者の心理教育の現状に関する文献検討」
「長期療養中の統合失調症の子どもを持つ母親の思いに関する文献検討」
「小児がん患児の両親ががん発症初期段階に抱く思いとそれに対する看護師の援助に関する文献検討」