ご挨拶

学校法人大阪医科薬科大学 理事長 植木 實

 平成30(2018)年6月、大阪医科大学関西BNCT共同医療センターが開院いたしました。
基本構想策定に着手して以来3年余り。この間、多くの皆様から貴重なご指導・ご支援を賜り、当初予定どおり開院を迎えることができましたことを心から感謝申し上げます。

 BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)は、がん患者様のQOLの維持向上が求められる中、手術を要さず原則1回(30分~60分)の中性子照射という短期間・短時間で施療可能な治療法で、副作用も少ないという優れた特長を有しております。手術(切除)が困難ながんや難治性がんにも効果が期待できるほか、特に通常の放射線治療を行った後に再発したがんにも適用できる治療法であり、今日、がん治療の新たな選択肢としてさらに期待が高まっております。

 本法人は、早くからこうしたBNCTの特長に着目し、京都大学複合原子力科学研究所と連携し原子炉を利用した臨床研究を重ね、現在進められている治験においてもその実施機関となるなど、BNCTの実用化に向けた取組みを先導してまいりました。この結果、脳腫瘍に対する臨床数では世界的にも群を抜いた実績を有しております。

 BNCTが臨床研究から治験、そして臨床治療への抱卵期にある今日、本法人は、これまでの実績を基盤と して、治療技術の向上と適応がんの拡大等に向け、このセンターにおいて、大学附設という特性を活かしながら、臨床治療の実施に併せ更なる研究の推進に努めてまいります。

 BNCTに関する研究集積が世界的にも優位にある関西圏にあって、関西BNCT共同医療センターが、関係 機関等との連携のもと、BNCTの医療研究の拠点としての役割を果たし、がんの撲滅という医療界の今日的課題の
解決に貢献できるよう取組んでまいりますので、皆様方の更なるご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

大阪医科大学関西BNCT共同医療センター長 小野 公二 

 BNCTは、ホウ素原子(10B)と中性子との核反応を利用して、がん細胞を内部から選択的に破壊・死滅させる治療法です。
 この治療法に係るアイデアは、中性子の発見から4年後の1936年(昭和11年)、米国で提起されましたが、治療法として実用化に導いたのは、我が国、とりわけ関西圏の研究者の取組みです。BNCTの基盤技術は、医学・生物学はもとより、工学(中性子照射装置)、化学(ホウ素薬剤)など多くの学術分野に関連し、関西圏では、早くから研究者、医師等の研究交流、共同の取組みを通じBNCT研究を牽引し、その治療法の確立を実現したところです。
 
 現在、再発脳腫瘍、頭頸部がんを対象とする照射装置(BNCTシステム)及びホウ素薬剤(BPA)に係る治験途上にありますが、京都大学原子炉を利用したこれまでの臨床研究においても、多くのがんに適応できる可能性があることが実証されています。
 
 大阪医科大学関西BNCT共同医療センターは、BNCTが研究段階から治療段階に至ろうとする今、こうした関西圏における研究集積を背景として、京都大学複合原子力科学研究所など研究拠点や関係医療機関との連携のもと、関係技術の向上や適応がんの拡大に向けた臨床研究と実臨床の核としての役割を担って誕生しました。
 
 BNCTは、他の治療法に比して、多種多様ながんに対し包括的に効果が発揮される可能性を有するものと確信しており、当センターが名実共にBNCT医療の中核的拠点となり、がん患者の期待にも応え、がん治療の飛躍的な進歩を果たすことができるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。皆様方のご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。