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SSP療法とは?

1.SSP療法には三大特徴がある
SSP療法はSilver Spike Pointの略である。第1に特有なSSP電極を用いること。第2に東洋医学のツボ(経穴)に置き,第3に従来なかった特別な波形(双方向性指数関数波)の低周波通電を行う。種々の疼痛疾患のみならず,昨今,ストレスの緩和やリハビリテーション分野にも広く用いられている療法である。

2.皮膚に貼付するSSP電極の形状
電極は通電をよくするために銀メッキで皮膜された逆三角の円錐形を呈している。直径13oで,先端は90度の鋭角である。SSP電極(8部位前後)をアルコール綿で皮膚を拭った後に経穴に置き,シールまたは吸引装置などで固定する。これが経穴に圧迫効果を及ぼすことによって,鍼を刺入した場合に近い刺激効果が得られる。

3.TENSとSSP療法との違いは形状と治療点
鍼麻酔から由来したSSP療法とはまったく別に,欧米では現在,経皮的神経刺激法(TENS)が,新しい鎮痛法として普及している。TENSとSSPの両者は,「体表面を低周波電気で刺激することによって,薬物などでは期待できない鎮痛効果を得る」という点では同じである。しかし,TENSとSSP療法との違いとして,つぎの点があげられる。


a.開発の由来が異なる:
SSPはあくまで鍼麻酔という実践を通して生まれ,TENSはgate control theoryからの理論の産物として生まれた。
b.治療点が異なる:
SSPは経穴を指向し,TENSは単に疼痛局所に,あるいは神経支配に基づいて治療点をとる。
c.電極の形状が異なる:
SSP療法による治療効果は,特殊な形状をしたSSP電極と装置にあるTENSは伝導性のゴム平板電極である。
d.通電方法が異なる:
鍼麻酔に由来したSSP療法は低頻度の低周波を主体的に用いる。TENSは中ないし高頻度の低周波を用いる。
 
4.SSP療法の利点は何か
SSP療法の利点について,まとめてみるとつぎの如くである。
恐怖,不安などを患者に抱かせると,痛みは増幅される。痛覚域値も低下する。こん状態で治療を行っても良い結果は得にくい。SSP療法は,この面からも患者に安心感を与えるupdateな治療法である。快適な20分間の治療で眠ってしまう患者もいる。
SSP療法の活用で薬物量を抑え,効果的な治療を図ることが望まれる。鍼治療と比べても,折鍼,気胸などはもちろん,肝炎などの感染の心配がないことは,SSP療法の大きな利点のひとつである。この点については,とくに外国人医師が注目している。
また,SSP療法は処置料の項(消炎鎮痛)を目的とした理学療法として算定可能である。

5.各科領域におけるSSP療法の治療効果
各科領域に分けて,SSP療法の治療効果,および適応症についてまとめてみる1)。ここに記された適応は,すでに有効とされた疾患である。


a.ペインクリニックでの応用
SSP療法は疼痛疾患にとくに有用である。頸部痛(外傷性頸部症候群や頸椎骨軟骨症),肩凝り,肩痛,腰痛(筋々膜症や変形性腰椎症),変形性膝関節症,筋々膜性疼痛一般
b.整形外科での応用
リハビリテーションでの応用:リハビリテーションを行う際,その阻害因子となる痛みや筋緊張の軽減を目的にSSP療法を施行すると効果的である。
c.外科での応用
手術に対するSSP麻酔(胃・腸カメラの有痛性検査の麻酔),術後鎮痛・術後浮腫の予防,レイノー現象を呈する振動障害2)
d.産科,婦人科での応用
乳汁分泌不全,月経痛,手術後の排尿障害,SSP麻酔による和痛分娩,SSP麻酔による初期人工妊娠中絶術
e.内科での応用
薬物抵抗性便秘,下痢,食欲不振,軽症高血圧症
f.歯科・口腔外科での応用
顎関節症,抜歯に対するSSP麻酔は,鍼麻酔と同程度の和痛効果が得られる。
g.耳鼻咽喉科での応用
咽頭喉頭神経症(乾燥感,刺激感,痒痒感,狭窄感,異物感など)に有効であった。
 
6.鍼とSSPは同じ機序か
SSPのような体表面刺激の鎮痛は,浅部とはいえ,体内に刺した鍼による鎮痛と作用機序が同じなのかどうか,疑問が生ずる。
SSPの場合は,しかし,体表面といっても,かなりの圧迫効果が加わる。この圧迫は,鍼と同じような効果を生体に及ぼすと考えられる。その証拠に,SSP刺激で上昇した痛覚域値はnaloxoneの投与により,鍼とまったく同じように一過性に低下する。SSPは,鍼と同じようにオピオイド・ペプチド(内因性モルヒネ様物質)を介する作用機序があることが分かる。 
同じ体表面刺激であっても,TENSの場合はメカニズムは異っている可能性がある。naloxoneによる桔抗作用は必ずしも証明されない。そうなると,TENSによる鎮痛は,純末梢性のもの,あるいはせいぜいgate control theory的なもので,endorphinsなどはあまり関係していなかもしれない。
enkephalin分解酵素の作用を抑制するD-Phenylalanineを投与すると,痛覚域値の上昇は,鍼の場合もSSPの場合も助長されるが TENSの場合は,この助長効果が明確ではない。
佐藤昭夫)はSSP,鍼刺激の有効性を支持する考えを述べている。皮膚や筋肉へのさまざまな刺激が脳に伝えられると,無意識のうちに反射性に自律神経を介して内臓などに影響を及ぼす。
このような反射を「体性ー自律神経反射」と呼んでいる。この反射には刺激された部位にあまり関係なく,どの部位への刺激によってでも起こる全身性の反射と特定部位への刺激のみが反射を誘発する刺激部位依存性の反射,つまり分節性の反射がある。このような皮膚や筋肉を刺激して体の調子を整える方法は,東洋に何千年も昔から発達してきた経験医術で,この大変古い療法が再び見直されてきている。
この他にSSP療法によって鎮痛作用が生じるメカニズムとしては,局所血流の改善による発痛物質の除去(筋緊張の緩和,新陳代謝の促進,老廃物の除去など)などが鍼治療と同様に考えられている。

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