大腸疾患の外科治療について

術後合併症について  

手術後には以下の合併症(お薬でいう副作用)が起こることがあります。

  • 術後出血  
    術後に腹腔内(お腹の中)に出血が起これば、再手術をして止血(出血を止める)処置が必要になることがあります。また、吻合部(腸と腸を縫い合わせたところ)からの出血があれば、大腸内視鏡による内視鏡的止血術や再手術による止血が必要になることがあります。なお、出血量が多ければ輸血を要することもあります。
  • 縫合不全  
    術後に縫合不全(腸と腸をつないだ部分がうまくつながらず腸液が腸の外でお腹の中に漏れること)が起こると、長期の絶食や体外からのドレナージ(CTやエコーなどで見ながらお腹の中に漏れた腸液を外へ出すチューブを入れる処置)などが必要になることがあります。さらに、その程度がひどい場合には再手術をして腹腔内洗浄(お腹の中を洗うこと)し、一時的に人工肛門(腸の縫合部より口側の腸をお腹の外へ出すこと)を作り、腹腔内ドレナージ(お腹の中にチューブを入れて汚い腸液などをお腹の外に出すこと)が必要になることもあります。この場合の人工肛門は、直腸がんの切除で肛門をくり抜いたために必要になる永久人工肛門と違います。つまり、再手術後に縫合不全が治って肛門機能が良く、再発もなければ3~6ヶ月後に人工肛門を閉鎖する手術を行えば便がもとの肛門から出るようになります。
  • 感染  
    手術後には体力、免疫力が落ちるため、細菌などに対する抵抗力が弱くなって感染を起こすことがあります。とくに、お腹の中で感染が起こって膿瘍(うみ)がたまると、ドレナージ(うみを外へ出してやる処置)が必要になることがあります。他に、腸炎を起こしたり、お腹の傷が膿んだりして点滴や傷の処置が長引くこともあります。
  • 腸閉塞  
    術後は小腸などの動きが悪くなる腸管麻痺が一時的におこりますが、長引くこともあります。また、小腸などが手術で切除されたスペースにはまり込んだり、捻れたり、お腹の傷に癒着したりなどして腸閉塞(腸液がうまくながれなくなること)が起こることがあります。この場合には鼻から胃や小腸にチューブを入れる処置が必要になったり、再手術して腸の状態を良くしてやることが必要になります。とくに、腸が捻れたりして虚血(腸の血行が悪くなること)が疑われる場合には緊急で再手術し、壊死腸管(腐っている腸管)があれば、腸管切除が必要になることもあります。
  • ストレス  
    術後のストレスで胃や十二指腸に潰瘍が出来て出血や穿孔(穴が開く)したり、とくに高齢者では譫妄(状態がわからなくなって不隠となる)がおこることがあります。内視鏡治療やお薬などで対処します。
  • がんの部位・進行度や併存疾患(持病)の程度や全身状態などによって上記以外の合併症が起こることもあります。  

なお、万一以上のような合併症が起こった場合には適切な対処が必要です。  
また、近年、高齢化が急速に進む中で重篤な併存疾患(持病)があったり、体力・免疫力が著しく低下しているために、術後に心・肺・肝・腎機能などの全身状態に大きな悪影響を受けて命にかかわるような状態に陥ることにも注意する必要性が高まっています。しかし、手術を行うことは極めて危険とわかっていても、大腸がんによる出血や腸閉塞(腸がつまる)などの危機的症状が差し迫っていれば、がんの部分だけの切除や人工肛門造設など、できるだけ身体への負担は減らすような術式に替えて大腸がんによる危機的状況(出血や腸閉塞)を乗り切る手術が必要な場合もままあります。  

以上のように、合併症が起こった場合の適切な対処だけでなく、起こる可能性が高い場合の手術の必要性、術式、危険性の程度、他の治療の選択肢と予想される治療経過や治療の限界などについても病状説明の中で十分理解いただいたうえでご本人やご家族が手術を選択されるかどうかを確認しておくことがますます重要となってきています。 したがいまして、高齢患者や重篤な併存疾患患者も含めた大腸がん手術実績の豊富な病院での治療を受けられることをお勧めします。

 

大腸がんの手術後の追加治療について  

肝臓などへの遠隔転移や腹膜転移の術前・術中精査に加えて、手術で切除した組織を顕微鏡で詳細に調べる病理組織検査を行ってがんの種類、深さ、リンパ節転移の有無などをチェックし、がんの最終的な病期(進行度)が決まります。  

病期(進行度)は、抗がん剤治療(化学療法)や放射線治療などの追加治療の必要性や予後の判断基準となります。