大阪医科大学附属病院における大腸疾患の外科治療について

当科 大腸外科チーム(下部消化管外科班)の取り組みについて

専門領域の知識と技術を常に高めることはもちろんとして、ご病気を持った患者さんをトータルにケアすることが最も重要と考えています。

とくに大学病院には心臓、肺、肝臓、腎臓や脳などに併存疾患(持病)をもった患者さんが多く、これからの病院機能分担を考えれば、大学病院では重症併存疾患を持った大腸疾患患者さんの割合がさらに高率になっていくはずです。

一方、外科治療においては迅速性も重要ですから、併存疾患のケアに必要な専門科チームと効率の良い連携をはかりつつ必要最小限の検査で的確な診断、適切な術前準備と患者さんやご家族が理解して選択しやすいような明確な治療(手術)の情報を提供しなければなりません。当科では、大腸外科治療を専門とする大腸外科チーム(下部消化管外科班)が、関連各科とのスムーズな連携のもとに、根治性と低侵襲性に加えて術後の生活の質(QOL)も高められる最高のチーム医療を行って、可能な限り個々の患者さんのご希望に応えることをモットーにしています。

表3に大腸がんを始めとする大腸疾患で手術が必要と診断されて紹介いただいた患者さんの外来受診から入院・手術・退院および退院後のケアまでの流れを示しています。

すなわち、私どもは、紹介医の検査データなどをもとに、原疾患・併存疾患・服用薬剤などをチェックしたうえで、手術の必要性を説明してインフォームド・コンセントが確認できれば、初回受診日に入院・手術日を予約し、ご本人・ご家族と相談の上で予定退院日まで設定しています。この内容は独自の外来説明用紙に記載をして患者さんにお渡ししますので説明内容を理解しやすく、その内容や予定の記録にもなります。また、この用紙は、同時に入院予定の病棟にも送られますので、病棟や多職種チーム医療の入院前チェックとしても活用されています。

私ども大腸外科チームは、放射線科の協力のもとに、主な術前精査(大腸内視鏡検査→3D-CT検査)として一日で済む検査枠を確保しています(表4)。また、術前精査を迅速かつ的確に行ってもらえる連携病院とのネットワークもさらに密にして、初回受診から1~2週間以内に術前精査を完了するようにしています。

さらに、麻酔科・関連各科や看護部全体(外来・病棟・手術室など)の積極的な協力のもとに、併存疾患のコントロールが良好で、全身状態などに問題がなければ、初回受診から1~3週間以内に手術を行えるようにしています。

なお、表3に示しますように、入院前チェックから退院にいたるまで、主治医・担当医のみならず、看護師、薬剤師、管理栄養士を中心とした多職種チーム医療をシステム化して実践しています。さらに、個々の患者さんの併存疾患や全身状態などに合わせ、それらの専門医のサポートも加えて個別化(オーダーメイドの多職種チーム医療)も図っています。

 

私ども大腸外科チーム(下部消化管外科班)は、治療(手術)前に治療(手術)の情報を患者さんやご家族に理解していただくことも極めて重要なことと考えています。

すなわち、私どもの術前説明では、個々の患者さんにとって、とくに注意しておくべき術中偶発症・術後合併症や術前・術後追加治療(抗がん剤治療や放射線療法など)も含め、術中・術後に予想される一連の経過と主な偶発症・合併症の予防策・対策法をお話しして、これまでの経験や最新の技術と知見をもとに全力で治療(手術)することをご理解いただき、安心感と信頼感を持っていただけるようにしています。なお、術前・術中・術後を通して迅速かつ効率の良い院内連携を図って的確なバックアップを受けられる体制維持にも力を注いでいます。したがいまして、万一、偶発症・合併症や再発などが起こった場合でも、患者さんやご家族とともにそれらに前向きに対応できると考えています。

とくに、私どもでは、医師のみならず、看護師、薬剤師、管理栄養士などからなる多職種チーム医療のシステムを構築して、随時カンファレンスを行っています(写真6)。

多職種チーム医療カンファレンスにおいては、クリニカルパスのアップデートや薬剤指導、術後の食事指導など医療サイドのシステム化とともに、個々の患者さん別に注意すべき合併症の先取りを加えた日めくりパスの作成、併存疾患の管理のための薬剤再開時期の確認や栄養管理上の注意点の把握など患者データを個別化し、合併症の予防と併存疾患のコントロールを的確に行って安心して予定通り退院していただけるように、多職種チーム医療を最高のチーム医療へと進化させることをモットーにしています。とくに、多職種チーム医療によって、患者さんやご家族からは、病院全体から診てもらっているという安心感と満足感を得られています。

さらに、高度進行大腸がんの術前・術後の抗がん剤治療 / 放射線治療や再発に対する抗がん剤治療 / 放射線治療におきましても当院の化学療法センター(腫瘍内科)放射線科の専門チームと連携して適切な治療を効果的に受けていただくことで、長期生存が得られるケースが増えています。

このような場合にも、私ども大腸外科チーム(下部消化管外科班)は、当科と他科での治療経過を把握してポイント毎に患者さんが治療経過を理解しやすいようにお話しし、ライトハウス(灯台)となることを目指しています。

今や、医療を受ける側から選ぶ側になった当事者である患者さんとご家族は、「より充実したチーム医療のもとで最適な専門治療を安心して受けられる病院」を求められていると実感しています。(写真7)

そのようなご要望にお応えすべく、私どもも大腸疾患患者さんお一人おひとりに垣根のないオーダーメイドの医療チームで最適な治療を行って喜んでいただくとともに、「このたびの入院治療をこれからの健康維持のための大切な経験」として活かしていただけるように、そして、大阪医科大学附属病院の理念である「安全で質の高い医療を提供する」大学病院として、さらに大きく社会に貢献できるように全力を尽くしていきたいと考えています。

とくに私どもにとっては、「ここで手術を受けて良かった」と元気に退院されていく姿が何よりの励みとなっています。

2016年に20室の最先端手術室からなる新中央手術棟が完成しました。本年より最新のda Vinci Xiによるロボット支援直腸がん手術の当院での保険診療認定やチーム力のアップとともに稼働力もさらに向上しています。これにより、安全、安心で最良の手術をさらに多くの患者さんに迅速かつ的確に施行できます。

最先端手術室からなる新手術棟